使っていない倉庫、そのままになっていませんか?
前回の記事「工場・倉庫・社屋――見直したい企業不動産の価値」では、企業不動産(CRE)を“経営資源”として捉える重要性についてご紹介しました。
今回はその中でも、地域企業で特に多い「使われなくなった倉庫」について考えていきます。
◆ 「いつか使うかもしれない」で残っている倉庫
「昔はフル稼働だったけれど、今はほとんど使っていない」
「資材置き場として残しているが、実際は空いている」
「とりあえず保有している倉庫がある」
地域企業では、こうした“使いきれていない不動産”を抱えているケースが少なくありません。
特に製造業、建設業、卸業、運送業では、事業拡大のタイミングで増やした倉庫や作業場を、そのまま維持していることも多いでしょう。
もちろん、倉庫は簡単に手放せるものではありません。
「将来また必要になるかもしれない」という考えも自然です。
しかし近年では、人口減少や物流環境の変化、在庫管理の見直しなどにより、不動産の使い方そのものが変わってきています。
だからこそ今、“持っていること”ではなく、“どう使えているか”が重要になっているのです。
◆ 使っていない倉庫にも、コストはかかる
倉庫が稼働していなくても、維持コストは発生します。
例えば、
- 固定資産税
- 修繕費
- 光熱費
- 保険料
- 管理コスト
- 防犯・安全対策費
などです。
また、古い建物ほど修繕リスクも高くなります。
雨漏りや外壁劣化、設備老朽化など、“使っていないのにお金がかかる”状態になっているケースもあります。
さらに、倉庫や空きスペースが増えることで、
- 何が置かれているかわからない
- 在庫管理が煩雑になる
- 動線が悪くなる
- 現場の整理整頓が進まない
といった、業務効率への影響が出ることもあります。
つまり、「使っていない倉庫」は単なる空きスペースではなく、経営コストの一部でもあるのです。
◆ 「持っている安心感」と「現実の活用」
地域企業では、不動産に対して“安心感”を持っている経営者も多くいます。
- 土地は資産だから
- 昔から持っているから
- いざという時に使えるから
- 先代から引き継いだものだから
どれも間違いではありません。
実際、不動産があることで事業継続の柔軟性が生まれる場面もあります。
一方で、重要なのは「本当に今の経営に必要な状態か」を定期的に確認することです。
例えば、
- 今後も必要な倉庫なのか
- 別用途で活用できないか
- 一部だけでも有効活用できないか
- 維持コストに見合っているか
こうした視点を持つだけでも、不動産の見え方は変わります。
“持っていること”と、“活かせていること”は、必ずしも同じではありません。
◆ 倉庫は「余り」ではなく、「可能性」かもしれない
近年では、遊休不動産を新たな形で活用する企業も増えています。
例えば、
- 空きスペースを別事業に活用する
- 一部を賃貸利用する
- 在庫配置を見直して集約する
- 作業スペースとして再整備する
- 将来の設備更新を見据えて整理する
などです。
もちろん、すべてを大きく変える必要はありません。
大切なのは、「なんとなく維持する」のではなく、“目的を持って保有する”ことです。
特に地域企業では、不動産が会社資産の大きな割合を占めることもあります。
だからこそ、倉庫や土地の使い方を見直すことが、経営改善につながるケースも少なくありません。
まとめ|まずは「現状を見える化」する
「使っていない倉庫をどうするか」は、すぐに答えが出る問題ではありません。
しかし、最初の一歩として重要なのは、“現状を整理すること”です。
- どのくらい使っているのか
- 維持費はいくらかかっているのか
- 将来使う予定はあるのか
- 現場で本当に必要とされているのか
こうした情報を整理してみるだけでも、新たな課題や可能性が見えてくることがあります。
倉庫は、「ただ残っている場所」ではありません。
これからの経営を考えるうえで、“どう活かすか”を考えるべき経営資源のひとつなのです。
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飯塚甲生 <26年の実績 × 中小企業診断士の専門知識>
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