承継前に確認したい企業不動産のチェックリスト

◆ 事業承継は、「企業不動産」を見直す絶好のタイミング

後継者が決まり、承継の準備が進み始めると、経営や組織、人材などに目が向きがちです。

一方で、見落とされやすいのが、工場や倉庫、社屋、土地などの企業不動産です。

前回の記事「会社の土地、誰の名義になっていますか?」では、企業不動産の名義確認の重要性についてご紹介しました。

では実際に、承継前には何を確認しておけばよいのでしょうか。

今回は、企業不動産(CRE)の視点から、承継前に確認しておきたいポイントをご紹介します。

◆ チェック① 名義は整理されていますか?

最初に確認したいのが、不動産の名義です。

会社で使っている土地や建物でも、

  • 法人名義
  • 社長個人名義
  • 先代名義

など、さまざまなケースがあります。

「会社で使っているから会社名義だと思っていた。」

実際には、そのような思い込みが後から判明するケースもあります。

承継前に現状を把握しておくことで、その後の手続きをスムーズに進めやすくなります。

◆ チェック② 現在も事業で活用されていますか?

企業不動産は、持っていることではなく、活用されていることに価値があります。

例えば、

  • 長年使われていない倉庫
  • 空きスペースになっている建物
  • 役割が曖昧になった土地

はありませんか。

以前の記事「空きスペースを“コスト”のままにしない」でもご紹介したように、使われていない不動産は維持管理の対象でもあります。

承継を機に、「現在の事業でどのような役割を果たしているか」を整理してみましょう。

◆ チェック③ 今後も必要な資産ですか?

「昔は必要だった。」

「将来使うかもしれない。」

そんな理由で保有している不動産はありませんか。

もちろん、すぐに手放す必要はありません。

しかし、

  • 今後も活用する予定があるのか
  • 将来の事業計画と合っているのか
  • 後継者も同じように活用する予定なのか

という視点で考えてみることも大切です。

承継とは、「今」を引き継ぐだけではなく、「未来」を引き継ぐことでもあります。

◆ チェック④ 権利関係は整理されていますか?

企業不動産には、所有権だけでなく、さまざまな権利関係が関わることがあります。

例えば、

  • 抵当権が設定されている
  • 借地・借家契約がある
  • 賃貸借契約を結んでいる

などです。

承継後に「知らなかった」という事態を避けるためにも、契約内容や権利関係を整理しておくことが重要です。

◆ チェック⑤ 税務面の確認はできていますか?

企業不動産の承継では、税務面も重要なポイントです。

例えば、承継方法によっては、

  • 相続税
  • 譲渡所得税
  • 不動産取得税

など、確認すべき税務上の事項があります。

一方で、相続による不動産の取得では不動産取得税が課税されないなど、承継方法や適用される制度によって取り扱いは異なります。

また、事業承継税制をはじめとする各種制度や特例が活用できるケースもあります。

そのため、「この方法が一番良い」と一律に判断するのではなく、税理士などの専門家と連携しながら、自社に合った進め方を検討することが大切です。

◆ チェック⑥ 後継者と情報を共有できていますか?

最後に確認したいのは、「人」の部分です。

  • どの土地を保有しているのか
  • なぜ取得したのか
  • 今後どう活用したいのか

こうした情報は、社長の頭の中だけにあることも少なくありません。

しかし、後継者にとっては、その背景を理解できることが経営判断の助けになります。

企業不動産は、土地や建物だけではなく、「情報」も一緒に引き継ぐことが重要なのです。

◆ チェックリストは、「会社の未来」を考えるためのもの

今回ご紹介したチェック項目は、すべてをすぐに改善するためのものではありません。

まずは現状を把握し、

「どこが整理できていて、どこが課題なのか。」

を確認することが大切です。

企業不動産(CRE)は、不動産を管理するための考え方ではありません。

会社の未来を支える経営資源として、どう活かしていくかを考えるための視点です。

事業承継という大きな節目だからこそ、一度立ち止まって、自社の企業不動産を見直してみてはいかがでしょうか。

「事業承継に向けて、企業不動産をどこから整理すればよいかわからない。」

「工場や倉庫、土地の活用も含めて相談したい。」

そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

当社では、企業不動産(CRE)の視点から、工場・倉庫・社屋・土地などの現状整理や活用方針の検討をサポートしています。

また、税務・法務など専門的な検討が必要な場合には、税理士や司法書士など各分野の専門家と連携しながら、経営全体を見据えたご提案を行っています。

飯塚甲生 <26年の実績 × 中小企業診断士の専門知識>

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