土地はあるのに、人が足りない時代へ
◆ 「場所」はある。でも、人がいない
地域企業の経営者とお話をしていると、こんな声を耳にすることがあります。
「工場を増やす余地はある」
「土地も確保してある」
「設備投資もできる」
しかし、
「働く人が集まらない」
という悩みです。
かつては、事業拡大を考える際に、
- 土地を確保する
- 工場を建てる
- 設備を導入する
といった準備が重要でした。
もちろん今も重要です。
しかし現在は、それだけでは十分ではありません。
多くの地域企業にとって、最大の経営資源が「人」になりつつあるからです。
◆ 人口減少が企業経営を変えている
日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口は長期的に減少傾向にあります。
特に地方では、
- 若年層の流出
- 高齢化
- 採用競争の激化
といった課題が顕著になっています。
その結果、
「設備はあるのに稼働できない」
「受注したいが人が足りない」
「後継人材が育たない」
という状況も珍しくありません。
以前は、
「どこで事業を行うか」
が重要でした。
これからは、
「誰と事業を続けるか」
がより重要なテーマになっていくでしょう。
◆ 不動産の価値も変わり始めている
企業不動産(CRE)というと、
- 土地活用
- 資産管理
- 不動産戦略
といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、人手不足が進む現在では、不動産を見る視点も変わってきています。
例えば、
- 働きやすい立地か
- 通勤しやすい環境か
- 安全で快適な職場か
- 将来の人材確保に役立つか
といった視点です。
つまり、
「どれだけ土地を持っているか」
ではなく、
「人が働きやすい環境になっているか」
が重要になってきているのです。
◆ 採用は“会社の中”だけで決まらない
近年は、求職者が企業を選ぶ際の基準も変化しています。
給与や待遇だけではなく、
- 通勤のしやすさ
- 職場環境
- 働きやすさ
- 将来性
なども重視される傾向があります。
例えば、
工場や事業所が駅から遠い。
駐車場が不足している。
休憩スペースが十分ではない。
こうした環境面が、応募や定着に影響する場合もあります。
もちろん、立地だけですべてが決まるわけではありません。
しかし、「働く場所」も企業競争力の一部になっていることは確かです。
◆ 人手不足時代の企業不動産とは
これまでのCREでは、
「どの土地を持つか」
「どの不動産を活用するか」
が中心でした。
これからは、
「限られた人材でどう事業を続けるか」
という視点が欠かせません。
例えば、
- 拠点配置を見直す
- 動線を改善する
- 業務を効率化する
- 働きやすい環境を整える
こうした取り組みは、不動産の使い方とも深く関係しています。
前回の記事「その工場、本当に今の事業に合っていますか?」でもご紹介したように、工場や事業所のレイアウトは生産性に影響します。
また、「古い社屋が、採用の壁になっていませんか?」で取り上げたように、職場環境は採用や定着にも関係します。
つまり、人手不足への対応と企業不動産は、決して別の話ではないのです。
◆ 「土地がある」だけでは強みにならない時代
かつては、
「広い敷地がある」
「工場用地を持っている」
こと自体が大きな強みでした。
しかし今後は、
その土地をどう活かすのか。
人が働きやすい環境になっているのか。
将来の事業に合っているのか。
そうした視点がより重要になっていくでしょう。
企業不動産は、単なる資産ではありません。
会社の未来を支える経営資源です。
そして、その価値は「土地の広さ」だけでは測れなくなっています。
まとめ|これからの経営は、「人」と「場所」を一緒に考える
人手不足は、多くの地域企業にとって避けて通れない課題です。
だからこそ、
- 人材
- 職場環境
- 工場
- 社屋
- 土地
を別々に考えるのではなく、一体的に考える必要があります。
企業不動産を見直すことは、不動産のためではありません。
これからの事業を支える「人」のためでもあります。
土地はある。
設備もある。
だからこそ次に考えたいのは、
「人が働き続けられる環境になっているか」
なのかもしれません。
今回は、「人手不足時代における企業不動産」という視点をご紹介しました。
工場の生産性については「その工場、本当に今の事業に合っていますか?」、
働く環境については「古い社屋が、採用の壁になっていませんか?」でも詳しく解説しています。
あわせてご覧いただくことで、企業不動産を経営資源として活用する考え方をより深くご理解いただけます。
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飯塚甲生 <26年の実績 × 中小企業診断士の専門知識>
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