人を増やす前に、減らせる仕事はありませんか?

◆ 「人が足りないから、採用しよう」の前に

「人が足りない。」

「採用したいけれど、なかなか応募が来ない。」

「せっかく採用しても、定着しない。」

地域の中小企業では、そんな悩みが珍しくありません。

特に製造業では、受注が増えているのに人が足りず、

「この仕事を受けたいけれど、今の人数では難しい。」

という状況になることもあります。

もちろん、必要な人材を採用することは重要です。

しかし、人手不足への対応を考えるとき、もう一つの視点があります。

それが、

「そもそも、今ある仕事を減らせないか?」

ということです。

◆ 「忙しい」の中には、減らせる仕事が隠れている

例えば、こんな仕事はありませんか?

  • 同じ内容を複数の書類に記入している
  • 必要な資料を探すのに時間がかかる
  • 紙の帳票を手入力している
  • 同じデータを何度も入力している
  • 社内で何度も確認や承認をしている
  • 材料や工具を探すために現場を歩き回っている
  • 会議のための資料づくりに時間をかけている
  • 「昔からやっている」という理由だけで続いている作業がある

一つひとつを見ると、それほど大きな問題には感じないかもしれません。

しかし、こうした仕事が毎日、毎週、毎月積み重なると、会社全体では大きな時間になります。

人手不足だからといって、すぐに「人を増やす」ことだけを考えるのではなく、

「今いる人が、本当に必要な仕事に時間を使えているか」

を見直してみることも大切です。

◆ 「やめる」ことも、生産性向上です

業務改善というと、

「新しいシステムを導入する」

「新しい設備を入れる」

といったことを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、ITや設備への投資は、生産性向上の有効な手段の一つです。

一方で、その前に考えたいことがあります。

「その仕事、本当に必要ですか?」

例えば、

「毎週作っている資料だけれど、誰が見ているのか分からない。」

「昔は必要だったけれど、今は別の方法で確認できる。」

「念のため続けているけれど、なくしても問題ないかもしれない。」

そんな業務があるかもしれません。

仕事を効率化するだけでなく、そもそもの仕事をなくす

これも立派な業務改善です。

◆ 「減らす」「まとめる」「自動化する」

仕事を見直すときは、すべての業務を一気に変える必要はありません。

まずは、今ある仕事を大きく3つに分けてみます。

①やめられる仕事

目的がなくなっているもの。

重複しているもの。

「昔からやっている」だけのもの。

まずは、なくせないかを考えます。

② まとめられる仕事

同じような作業を別々に行っているもの。

例えば、複数の担当者がそれぞれ同じような資料を作っているのであれば、フォーマットを統一するだけでも作業を減らせる場合があります。

③ 自動化できる仕事

人が毎回同じ操作を繰り返しているもの。

データ入力や集計、定型的な帳票作成などは、ITツールやシステムによって効率化できる可能性があります。

そして、こうした見直しをしたうえで、

「それでも人が必要な仕事は何か?」

を考えます。

◆ 製造現場なら、「人の移動」も仕事です

製造業では、事務作業だけが見直しの対象ではありません。

例えば、

「工具を取りに行く。」

「材料を取りに行く。」

「完成品を次の工程へ運ぶ。」

「担当者に確認する。」

こうした「移動」も、従業員の時間を使っています。

一回あたり数分でも、毎日何度も繰り返せば、積み重なる時間は大きくなります。

だからこそ、

  • 工具の置き場所
  • 材料の保管場所
  • 製品の仮置き場所
  • 作業台の配置
  • 工程間の距離

などを見直すことも、生産性向上につながる可能性があります。

以前の記事「設備を入れたのに、なぜ生産性が上がらない?」でも触れたように、設備だけを変えても、周囲の工程や動線が変わらなければ、期待した効果が十分に発揮されない場合があります。

人・設備・工程・動線をまとめて見る。

これが、現場改善では重要な視点です。

◆ 人を「増やす」だけでなく、「活かす」

人手不足になると、

「あと2人いれば回るのに。」

と考えてしまいがちです。

しかし、本当に必要なのは「2人の採用」なのでしょうか。

例えば、

今いる社員が1日1時間、不要な作業に時間を使っているとします。

10人いれば、1日10時間です。

その仕事をなくしたり、自動化したりできれば、採用とは別の形で人手を生み出せます。

もちろん、すべての業務をなくせるわけではありません。

また、業務効率化だけで人手不足が解消するとも限りません。

それでも、

「採用できないから困る」から、「今いる人がより重要な仕事に集中できるようにする」

という発想に変えることには意味があります。

中小企業庁も、人手不足への対応策として、デジタル投資による効率化や設備投資による自動化・機械化を通じた生産性向上を挙げています。

◆ 「忙しい会社」と「生産性の高い会社」は同じではない

社員が忙しく働いている。

残業も多い。

いつも仕事に追われている。

一見すると、「人が足りないから仕方ない」と思うかもしれません。

しかし、

忙しいことと、生産性が高いことは同じではありません。

本当に必要な仕事に時間を使っているのか。

会社の価値につながる仕事に人材を配置できているのか。

そこを一度見直すことが重要です。

例えば、営業担当が資料作成に多くの時間を使っているのであれば、その時間を顧客との商談に使えないでしょうか。

製造担当者が材料探しに時間を使っているのであれば、もっと本来の製造業務に集中できないでしょうか。

経営者自身が細かな確認作業に追われているのであれば、その仕事を仕組み化できないでしょうか。

「誰が、何に時間を使っているのか」

を見えるようにするだけでも、改善のヒントが見つかることがあります。

◆ 業務を減らしてから、設備やITを考える

ここまでのシリーズでは、

「設備投資」

「補助金」

「生産性」

についてお話ししてきました。

これらも、今回の話とつながっています。

例えば、

業務を見える化する

不要な仕事をなくす

業務をまとめる

それでも残る作業を自動化する

必要に応じて設備やITへ投資する

という順番です。

最初から「新しいシステムを入れよう」「新しい機械を買おう」と考えるのではなく、

「何を解決したいのか」

を先に考える。

この順番なら、投資の目的も明確になります。

2026年版中小企業白書でも、人手不足への対応においてAIなどのデジタル技術を省力化だけでなく、既存従業員の業務を補完する手段として活用することが期待されています。さらに、社内研修や部門間連携などがデジタル化の効果を高める取組として挙げられています。

◆ まずは「1つの仕事」から見直してみる

いきなり会社全体を変える必要はありません。

まずは、

「この作業、なくせないかな?」

と思う仕事を一つ挙げてみてください。

そして、

  • なぜ、この仕事をしているのか
  • 誰がやっているのか
  • どれくらい時間がかかっているのか
  • 本当に必要なのか
  • なくしたら何が困るのか
  • まとめられないか
  • 自動化できないか

を考えてみる。

小さな改善でも、積み重なれば会社全体の時間の使い方が変わります。

業務プロセスの見直しは、単に「楽をする」ためのものではありません。

限られた人材を、より価値の高い仕事に振り向けるための経営改善です。

人手不足は、これからも多くの中小企業にとって重要な経営課題です。

だからこそ、

「人が足りないから採用する」

だけではなく、

「今の仕事を見直す」

という選択肢も持っておきたいところです。

やめられる仕事はないか。

減らせる仕事はないか。

自動化できる仕事はないか。

そして、

人にしかできない仕事に、人が集中できているか。

業務を見直すことは、単なるコスト削減ではありません。

人材不足の中でも会社が成長していくために、今ある経営資源をどう活かすか。

その視点から仕事を見直すことが、これからの中小企業経営にはますます重要になっていくでしょう。

◆ 「人が足りない」を、会社を変えるきっかけに

人手不足は、これからも多くの中小企業にとって重要な経営課題です。

だからこそ、

「人が足りないから採用する」

だけではなく、

「今の仕事を見直す」

という選択肢も持っておきたいところです。

やめられる仕事はないか。

減らせる仕事はないか。

自動化できる仕事はないか。

そして、

人にしかできない仕事に、人が集中できているか。

業務を見直すことは、単なるコスト削減ではありません。

人材不足の中でも会社が成長していくために、今ある経営資源をどう活かすか。

その視点から仕事を見直すことが、これからの中小企業経営にはますます重要になっていくでしょう。

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当社では、業務の見える化から、業務プロセスの見直し、設備・ITの活用、工場や企業不動産(CRE)の見直しまで、会社全体を見ながら改善策を検討します。

そして、改善策をご提案して終わりではありません。

実際に取り組み、効果を確認し、必要に応じて改善する。

「人を増やす」だけではなく、「今いる人が力を発揮できる会社」に変えていく。

そのための実行まで、伴走します。

まずは、「この仕事、なくせないかな?」と感じている業務から、お聞かせください。

飯塚甲生 <26年の実績 × 中小企業診断士の専門知識>

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